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幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

クリスマスの夜 8

流星普段より30分遅れて会社に着いた そう、30分の遅刻だった

上司に色々と怒られて、しょんぼりしながら自分の席についた

「おまえも大変だなぁ」と雄太に笑われた

「うるせぇ。俺だって急いできたんだけど遅刻したんだよ」

「幸せすぎて頭がボケてるんじゃないのか?」

「ボケてねぇよ。俺はいつでもスピーディに頭が回転し、いつでも冴えてる男だ」と語る

すると後ろから

「ではそのいつでもスピーディに頭が回転して、いつでも冴えてる男に仕事を頼むかな」と上司が言うとたくさんの資料を机の上に乗せた

「まぁ、頑張ってくれたまえ、頭が冴えて流星君」というと遠くへ行ってしまった

「下の名前であいつに呼ばれたくねぇよ…」とぼやきながらも急いで仕事に励んだ

昼休みの時間になっても机の上で昼食を食べながら仕事をしていた

「仕事熱心で関心だねぇ、流星君」と雄太がからかってくる

「だあぁ!!黙れ雄太!おまえはあっちで寂しく一人で飯を食ってろ!!」

「では、そうさせていただきます、流星君」と言うと笑って何処かへ行ってしまった

「いちいちむかつく野郎だなあいつは…」と呟き、また机に向かうのであった

もしかしたら今日が一番生きている中で頑張ったかもしれないと流星は思った

いつもの帰り時間と同じ位に山済みの資料を片付けてみせた

「やっと終わった…。さて、帰るか」と言い、ふぅと一息ついた流星の頬に暖かいものがあたる

「ごくろうさん、流星。ほら、コーヒー飲むだろ?」と雄太が話しかけてきた

「おう、ありがとよ」と流星はそれを受け取り一緒に帰った

「おまえさ、そろそろ結婚記念日だったよな?イブの日だったっけ?」

「いや、クリスマス当日だ」

「2つのイベントが重なるなんて贅沢だなぁ」

「てかさ、おまえは結婚しないのか?」

「ぶっ、俺ができそうに見えるか?」とコーヒーを噴出しそうになる

「できるだろおまえなら。世界中にはいろんな人がいるぜ?おまえみたいなやつでも好きだって言ってくれる人がいると思うぜ?」

「そうだな、っておい!!おまえみたいなやつってなんだ!!みたいなって!!」

「そのまんまの意味だが?」

「くそぅ…おまえみたいな美人の奥さんと結婚してぇなぁ…」

「一生夢見とけ」

「なんだと!!」

こんなばかげた話しをしながら二人はちらちらと粉雪が舞う町を歩き、それぞれのうちへと向かっていった


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